「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

私たちは、日本政府にTPP交渉における「国民への説明責任を果たす」こと、衆参農林水産委員会における「国会決議を遵守する」ことを求め集まった、大阪で活動する約30団体のゆるやかなネットワークです。FBページはこちらから→https://www.facebook.com/tpposakanet/

5/27・6/24・8/2(日程変更)「説明不足のままのTPP批准にNO!」街頭アピール、実施します

「説明不足のままのTPP批准にNO!」街頭アピール

第4金曜日、

5月27日18:00~19:00@京橋駅前広場、

6月24日18:30~19:30@なんば高島屋前(場所変更しました)

8月2日18:30~19:30@なんば高島屋前(日程変更しました)

で実施します!

 

「そうだったのか!TPPリーフレットも配布します。

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5分でも10分でも、ぜひ、ご参加・ご協力ください!

 

リーフレットはこちらからダウンロードもできます!

http://notppaction.blogspot.jp/p/news.html

 

◇前回は南森町で実施しました。

説明不足のままのTPP批准にNO!4月25日、南森町で街宣します。 - 「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

 

◇その他もアピール継続しています。

TPP、集会・街宣でアピールしています! - 「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

 

TPP、集会・街宣でアピールしています!

市民側TPPテキスト分析チームが中心となって作成したTPPリーフレット。

大阪のあちこちで配布しています!

4月25日南森町のハンドマイクでの街宣。

広がって配布したため、映っていない人も多数ですが、リーフレットを見て、行きかけた人が戻ってきて受け取ってくださったり、終わってから「ちょうだい」ともらいに来られる方も。

信号待ちのみなさんも、私たちのアピールを聞いてくださっているのを感じます^^

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5月も街宣続けていきます。

 

メーデーでもTPPの懸念をアピール。

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5月3日の憲法集会@南森町でも。

あっという間に準備したリーフレットがなくなりました!

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まだまだ分かりにくいと言われるTPP。

そうだったのか!TPP-リーフレット完成!みんなで広げましょう

ダウンロードはこちらからもできます!
→ http://notppaction.blogspot.jp/2016/03/tpp.html

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TPP特別委員会議員への要請「TPP特別委員会における審議について」

私たち「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」は、これまで政府に「国民に対する情報公開と国会決議の遵守を求める」ことを目的に活動してきました。

しかし、TPP特別委員会等政府の対応を見る限り、委員会の運営含め、政府の対応はあまりにもおそまつです。

 

私たちは、以下要請書を、TPP特別委員会の近畿エリアの関芳弘議員、岸本周平議員、丸山穂高議員に要請文を届けました。

(うち、丸山議員のみ、事務所にメンバーが出向き、秘書に手渡し要請しました。)

 

TPP特別委員会の委員名簿はこちらから↓

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私たちの以下要請文を参考にしてくださっても大歓迎です。

1人でも多くの市民の声を、議員のみなさんに伝えましょう。

 

<以下、要請文>

 

TPP特別委員会における審議について

「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」は、TPP交渉において、政府に国民に対する情報公開と国会決議の遵守を求めることを目的に2014年3月に結成したネットワークです。この間、TPP協定が国民生活にどのような影響を及ぼすのかについて、学習を積み重ねてきました。

 

安倍内閣は、TPP承認案及び関連国内法案を国会に上程し、4月5日から審議が始まっています。

 

まず、安倍内閣に問われなければならないことは、2013年4月の衆参農林水産委員会の国会決議に対する態度です。当該国会決議は、国会への速やかな報告、国民への十分な情報提供、幅広い国民的議論、農産物重要5品目の除外、ISD条項排除などを確認しています。

国会審議では、この国会決議に関する政府の交渉対応が検証されなければなりません。

 

また、自民党は、2012年12月の総選挙にあたって、「私たちの暮らしを脅かす「TPP」を断固阻止する!」(自民党北海道連比例ブロック選挙公報)、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」(選挙ポスター)と国民に約束していました。

 

4月7日の委員会審議で、安倍首相は「TPP断固反対と言ったことはただの1回もない」と答弁しましたが、無責任極まる発言と言わざるを得ません。政府・与党の責任を明らかにする必要があります。

 

さらに、4月7,8日の特別委員会審議では、45ページ全てが黒塗りでマスキングをされた資料が提出されました。こうした資料で委員会審議を進めることができないことは、誰が見ても明らかなことです。

 

安倍首相は、TPPについて国民や国会にていねいに説明すると繰り返し述べてきました。今の状況のままに審議が進められることは、政府の国会軽視、国民軽視の最たるものと言わなければなりません。

 

TPP協定は農林水産物の関税撤廃問題だけでなく、SPS(衛生植物検疫)措置、投資、金融サービス、政府調達、知的財産権など広範な国民生活のあり方を規定するものとなっています。

 

国会はTPP協定の内容を国会と国民に情報公開したうえで説明し、審議を尽くすべきと私たちは考えます。

 

貴殿におかれましては、以上の趣旨を十分お汲み取りいただき、TPP特別委員会の審議においてご尽力いただきますよう要請するものです。

 

2016年4月

ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク

代 表   樫 原 正 澄

 

 

 

ほんまにええの?TPP大阪ネットワークは、2014年3月8日に結成されたネットワーク組織です。以下の29団体が加入しています。

 

ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク加入団体(29団体)

大阪医療労働組合連合会

阪食糧・農業問題研究会

大阪自治体労働組合総連合

大阪府歯科保険医協会

大阪府農業協同組合中央会

大阪税制研究所

大阪府保険医協会

大阪民主医療機関連合会

大阪労連・大阪市地区協議会

金融労連近畿地方協議会

憲法を行政に生かす大阪の会

国家公務員労働組合大阪地区連合会

進歩と革新をめざす大阪の会

新日本婦人の会大阪府本部

特定非営利活動法人 建設政策研究所 関西支所

特定非営利活動法人 AMネット

自由法曹団大阪支部

食料を守り日本農業再建をすすめる大阪府民会議

生協労連大阪府連合会

全大阪消費者団体連絡会

全大阪借地借家人組合連合会

全大阪労働組合総連合

全損保労働組合大阪地協

全農林近畿地本大阪分会

TPPに反対する弁護士ネットワーク

日本の伝統食を考える会

農民組合大阪府連合会

民主法律協会

郵政産業労働者ユニオン大阪府協議会

 

 

 

 <参考>

環太平洋パートナーシップ( T P P ) 協定交渉参加に関する決議

一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

 

二 残留農薬食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、B S E に係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。

 

三 国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

 

四 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

 

五 濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなI S D 条項には合意しないこと。

 

六 交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。

 

七 交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。

 

八 交渉を進める中においても、国内農林水産業構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。

 

 

説明不足のままのTPP批准にNO!4月25日、南森町で街宣します。

安倍内閣は、TPP関連一括法案を国会に上程し、今国会での成立を図る姿勢を崩していません。
4月中の審議が山場です。
 
■東京では、
「TPP批准阻止実行委員会」さんは毎水曜日、TPP批准阻止!アクション。

(4月13日(水)、20日(水)、27日(水)、5月11日(水))http://tpp.jimdo.com/

「全国食健連」さんは4月18から22日を連日国会行動に指定。

 

■そして、大阪では
「食・農大阪府民会議」さんが
4月19日15-16時に難波高島屋前で、街頭宣伝。
 
・私たち「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」では、
4月25日(月)17-18時
南森町天神橋商店街北側出入口で宣伝します。
 
当日は、「そうだったのか!TPP」のリーフレットも配布します。
10分でも、リーフレット配布でも、ひやかしでも。
参加できる方は、ぜひご協力ください!

【2/27(土)開催!】TPPとくらしを考える学習会「TPPってなんだ!-これだ!~TPP協定のリアルを読み解く~」

TPPとくらしを考える学習会
【2/27(土)開催!】「TPPってなんだ!-これだ!~TPP協定のリアルを読み解く~」@大阪

政府はTPPが大筋合意したと言いますが、その中身は明らかにされておらず、内閣官房の要約文では理解不能です。そこで、 TPP交渉を監視し続けてきた人たちが協力して、英文の協定文を分析しました。 分析チームの一員でもあり、衆議院議員時代からいち早くTPPの危険性を指摘されてきた首藤信彦さんが、その分析から見えてきた「TPPのリアル」を読み解きます。

「食の安全は?」「国産農産物がなくなる?」「ジェネリック薬が先延ばし?」などの不安・疑問はどうなるでしょう。本当のTPPとは何か、ともに学びましょう。

◇日時:2月27日(土)13:30~16:00(13:00~開場)
◇講演:首藤信彦さん(TPP阻止国民会議事務局長)
「TPP協定を読み解くと見える日本のこれから」(仮)
◇参加費:500円         
◇会場:大阪府社会福祉会館403会議室(地図参照)

<予告>
大阪ネットワークでは、3月19日(土)13:30~16:00、TPP協定分析結果の各論にかかるシンポジウムを企画予定です。後日、ご案内します。

2月27日は、できるだけ事前に申込をお願いします。
参加申込先:メールo-shoudanren@mb8.seikyou.ne.jp
(@を全角から半角に修正してください)

FAX 06―6941―5699

◇主催:ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク

2015/12/18声明「TPP協定に係る情報を公開し、協定からの撤退を日本政府に求める」を発表。政府に提出しました。

 

「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」は、声明「TPP協定に係る情報を公開し、協定からの撤退を日本政府に求める」を発表。政府に提出しました。

 

情報公開不十分な中、10/5のTPP大筋合意。そして10/9に政府はTPP総合対策本部を立ち上げ、11/25「総合的なTPP関連政策大綱」を決定しました。でもちょっと待って。

 

①TPPの協定文が英文で公開される中、日本政府は内容不透明な概要版のみ。

②日本語での条文公開もしていない。

③TPP協定の公式言語に日本語を入れる要求もしていない。

④大筋合意にかかる内容が国会議員にすら公開されていない。

⑤大筋合意にかかる審議日程も示されていない。

⑥影響試算も、関税収入がどれくらい減るのかも分からない。

 

そんな状態で、「対策」だけ先に決まっていくことに大きな違和感を覚えます。

「どんな影響が出るのか」分からないのに、効果的な対策はできるのか?

「その対策が適正なのか」どう判断するのか?

「私たちのくらしへの影響は?」

政府は「大丈夫」というけど、その根拠を教えてほしい。

 

政府がまずやらなければならないことは、全ての情報公開と説明責任を果たすこと、そして、私たちにどんな影響を及ぼすのか明らかにすること。そして、国会決議との整合性、そして国会審議をきっちりと行うことではないでしょうか。

 

なにもかもが不十分なまま進められている、今のTPP交渉は許されません。私たちは協定からの撤退を日本政府に求めます。

 

※私たち「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」は日本政府にTPP交渉における「国民への説明責任を果たす」こと、衆参農林水産委員会における「国会決議を遵守する」ことを求め集まった、大阪で活動する約30団体のゆるやかなネットワークです。

 

 

声明「TPP協定に係る情報を公開し、協定からの撤退を日本政府に求める」

 

2015年10月 5日、TPP「大筋合意」と発表された。しかし日本政府が公表した「大筋合意」に係る資料を見れば、これらの合意は衆参国会決議に反することは明白である(※)。非関税分野では、通関の迅速化や、ISDS条項、ラチェット条項が盛り込まれ、投資、金融、サービス、政府調達、知的財産権などの分野で、WTO協定を上回る大幅な自由化に合意している。まさに、これまで私たちが懸念を指摘し続けていた項目が協定に取り込まれている。

 

TPPの協定文が英文で公開される中、日本政府は内容不透明な概要版のみで日本語での全条文公開もしていない。大筋合意に係る国会審議も行わず、10月9日政府はTPP総合対策本部を立ち上げ、「総合的なTPP関連政策大綱」を決定した。

 

米国では影響調査や法改正に必要な内容、最終協定テキスト、支援情報(効果や目標達成見込みとその根拠、過去の協定との違い)など、議会での審議ができるよう期日を区切って提供している。その他参加国が、これから議会での議論を始めようとしている中、臨時国会も開かず、対策を決定するという現在の政府の姿勢はあまりにも拙速と言わざるを得ない。

 

政府は、TPPの活用によって、中小企業を含む新輸出大国化を推し進め、「強い経済」を実現するとし、国内農林水産業の体質強化で攻めの農林水産業へ転換するという。協定内容を明らかにしないまま、かつ影響調査も出ていない状態で対策を発表しても、その妥当性を国民は判断することはできない。

 

今、政府がやらなければならないことは、「合意」内容にかかる情報を公開して国民に説明し、協定内容が国民生活にどう影響を及ぼすのかを明らかにすることである。その上で、それが国会決議に照らしてどういう意味を持つのかの国会審議を公正に行うことである。

 

以上に鑑み、「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」は、安倍内閣のTPP交渉の大筋合意に抗議し、以下のとおり、見解を公表する。

 

1 安倍内閣がTPP交渉で大筋合意に至ったと公表した農林水産物の関税措置は、衆参農林水産委員会の国会決議に反しており、認められない。

 

2 非関税分野の全体像や内容は不透明なままであり、公表されていないに等しい。日本政府は、国民に対してTPP交渉の大筋合意に係るすべての情報を公開し、その上で、国民にわかるように説明すべきである。私たちは、このような合意を認めることができない。

 

3 以上により、日本政府に直ちにTPP交渉から撤退するよう求める。

 

2015年12月18日

「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

 

(※)日本政府が公表した「大筋合意」に係る資料によれば、工業製品の輸入関税は全廃、農林水産物の関税の95%は撤廃、残り5%については大幅な関税引き下げとなっている。とりわけ、農林水産省から公表された農林水産物の輸入関税の削減・撤廃は、各方面に大きな衝撃を与え、国内生産者の怒りを呼び起こしている。国会決議で特に指定した重要5品目(米、麦、甘味資源作物、乳製品、牛肉・豚肉)でも、30%に当たる関税を撤廃する。加えて、コメの特別輸入枠を米国、豪州に認め、小麦では米国、豪州、カナダに特別輸入枠を設けた。日本政府は、米、麦、乳製品で現行の国家貿易制度を残したことや、牛肉、豚肉におけるセーフガードを設定したこと、重要5品目の関税を残したことをもって、重要5品目を守ったと強弁している。

 

7/12開催報告 「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」②<報告3>郵政民営化と保険商品の窓口販売

 7/12開催報告

「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」②

 

TPPと並行して進んでいる日米協議では、日本の大幅譲歩の報道も。

1980年代に始まった「日米構造協議」の歴史は何を物語るのでしょうか。
このシンポジウムでは、米国の対日要求と日本社会の変化について、私たちの生活にどんな影響を与えていたのか、これからどうなるのかを明らかにしていきたいと思います

 

5/24開催報告はこちらから。

<報告1>食料輸入と食の安全をめぐって 

<報告2>医療制度、医薬品をめぐって

 

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<報告3>郵政民営化と保険商品の窓口販売』
◇日時:7月12日(日)13:30~16:00(13:00~開場)

◇主催:ほんまにえええの?TPP大阪ネットワーク

 

当日資料はこちらから。

 

【報告1】郵政民営化と保険商品の窓口販売  

松岡幹雄さん (郵政産業労働者ユニオン顧問)

 

Ⅰ、規制改革、郵政、保険・共済、金融分野の流れ

 まずは米国の日本に対する規制改革の要求、その変遷について。過去の歴史的な経緯を見ることで、TPPの狙いがわかる。

 

対日貿易の赤字に苦しむ米国側が提起し、1970年代に日米交渉はスタートした。繊維に始まり対象分野は、鉄鋼、カラーテレビ、牛肉・オレンジ、自動車、半導体と拡大の一途をたどる。1980年代にはいると、エレクトロニクス、電気通信、医療品、医療機器、林産物、輸送用機器とさらに拡大する。

 

しかし、1989年にはじまった日米構造協議は、全く次元が異なるもの。協議と訳されているが、原語は「イニシアティブ」であり協議ではない。日本への構造改革要望である。

 

この中で、貯蓄・投資、流通機構、価格メカニズム、系列、排他的取引慣行といった個別の産業分野だけでなく、「日本の社会・経済構造そのもの」が遡上にあげられた。

 

米国は、通商交渉にもかかわらず対日貿易が改善されないことに業を煮やし、日本に構造改革をせまってきた。1994年からは、日米経済包括協議のもとで「年次改革要望書」が出される。これも原語は「勧告書」であり、要望書ではない。

 

年次改革要望書でも競争政策、商法・司法制度、民営化など構造改革を迫る内容が網羅されている。しかし、民主党鳩山政権の時にいったん日米経済協議が中止になった。

 

その後、米国はあらたに日米経済調和会議という形で、対日要求の実現をめざしてきた。「外国貿易障壁書」は、米国代表通商部(USTR)が米国通商法に従い、大統領と上院財政委員会、また下院の委員会に対して、外国の貿易障壁に関する報告書を提出する義務を負っているもの。

 

簡単にいえば、「米国の貿易の邪魔をしている世界各国の国内法や制度、慣行」集。400ページにも及ぶ膨大な報告書には世界61か国の「貿易障壁」が挙げられているが「日本」と「中国」の貿易障壁については圧倒的に分量が多い。

 

「外国貿易障壁報告書」をみるとTPP事前協議や日米2国間協議で米国が何を要求しているか、つまりTPP合意によって米国が日本をどのような青写真によって作り替えようとしているかがわかる。

 

今回のTPP参加は日本の経済的従属の異常な「制度化」の流れの総仕上げであり、日本の経済的主権を根こそぎ奪うもの。そして、その根底には、日米安保での経済的な従属の強制という問題があり、現在の安保法制は、一方で日本のアメリカへの経済的従属を深めるものだ。

(編注:日米安全保障条約の前文、第2条に「両国の間の経済的協力を促進」と記載)

 

日本郵便

民主党政権時、2011年報告書では、日本郵政を民営化すべきかどうかについては中立としていた。2005年の年次改革要望書では、「米国は、郵政公社の民営化という改革イニシアティブを特に歓迎する」と表明しており、一体どうしてという疑問が湧いてくる。

 

これは、もともと米国にとっての日本郵政の関心事は金融2社、とりわけかんぽ生命にあり、日本郵政という持株会社日本郵便にはさして関心がないためだ。「民営化されても、金融2社が完全民営化でなければ対等な競争条件でない」というのが米国の主張の中心だ。

 

【急送便】

急送便とは、EMSなどの国際急送便を指す。「EMSが税関等の取扱いにおいて優遇されている」と米国は主張しているが、米国を含め世界的に、国際郵便と国際急送便サービスで異なった通関手続となっているのが通例である。

「内部相互補助を抑止する措置が必要」と主張しているが、毎年度、郵便事業の収支の状況について内国郵便及び国際郵便に分けて公表。その中でも、国際郵便は黒字であり、内部相互補助が行われているとの指摘は当たらない。

 

 

【かんぽ生命】

かんぽ生命と他の保険会社は、保険業法の同じ規制を受けており、制度上の不公平はない。加えて、かんぽ生命は、他の保険会社にはない郵政民営化法の業務制限規制(限度額、業務範囲等)を受けている。

 

かんぽ生命について、「郵便局ネットワークへの優遇的アクセス」との指摘があるが、日本郵便株式会社が郵便局において他の保険会社の商品を受託販売することについて制度的な支障はない。日本郵便株式会社が、かんぽ生命以外の保険サービスについて、どのように取り扱うかは、日本郵便株式会社と商品供給会社の経営判断に委ねられており、競争条件の公平性の問題は生じない。

 

 

つまり、米国は妥当性のないことを毎年毎年要求してきている訳だが、それは、先も述べたように、日本郵政というよりゆう貯銀行、かんぽ生命の2社を完全民営化しなければ、限度額の引き上げもダメ、新規業務拡大もダメというスタンスであるためだ。

 

 

【共済】

保険業法改正で、本来少額短期保険の要件を満たす必要があったが、「認可特定保険業者としてこれまでどおり業務を行うことが出来る」としたことを不服としている。

 

2015年版では何を要求しているか。郵政・急送便に関しては全く一緒。新たに上場手続きへの透明性、つまり米国が納得するようなやり方で株式公開をやりなさいと言っている。

 

また、報告書では、麻生大臣の発言「かんぽ生命が完全民営化されるまでは認可しない」という旨の発言を歓迎し、2013年7月のアフラック社との業務提携を評価している。すでに、2014年末で1万店舗を超えており、将来は全郵便局での販売予定。共済も同じ内容。

 

 

【投資障壁】

報告書で新たな記述があった。

安倍政権成立前まで対内外国直接投資に積極的でなく、2013年は増えたものの、経済規模に対し取引数が小さいと懸念。安倍総理が2020年までに倍増するという目標発表したことを評価するが、目標達成するか施策の妥当性に疑問が残る、外資に対する態度が悪く、株主利益より保身的な経営陣を保護する企業統治、株式持ち合いはダメ、などの記載がされている。日本再興戦略で企業統治の強化の最重視が前向きな動きとされ、これで海外投資家が安心して日本に投資できるといった評価がされている。

 

 

Ⅱ 国内に於ける規制改革の動向

 

1982年のアルコール専売→新エネルギー機構、電電公社→NTT、日本たばこ、JR、と国内で「公企業の民営化」が進んできた。オリックスの宮内氏は10年間にわたり、規制緩和の音頭をとってきた。郵政民営化小泉政権の看板、「改革を止めるな」と郵政民営化しかないと自民党一面広告、当時は外交がよくなるなど、関係ないことまで関連づけ宣伝された。

 

郵政事業は、2007年10月の郵政民営化により、持ち株会社である日本郵政のもと、4事業を担う株式会社へと分割された。小泉郵政民営化では、日本郵政の株式3分の2を順次売却し、金融2社については2017年の9月末までに全株式を処分する予定だったが、2009年9月9日鳩山内閣が誕生した。

 

鳩山内閣のもと、郵政事業の抜本的見直しが政権合意され、10月には「郵便局ネットワークを地域や生活弱者の権利を保障し、格差を是正するための拠点として位置づける」ことを明記した「郵政改革の基本方針」が閣議で決定された。

12月には「郵政株式売却凍結法案」が可決成立、郵政民営化にいったんはストップがかかった。

 

2010年4月になり、「郵政改革関連法」案が衆議院に提出されたが、自民党などの抵抗にあい、たなざらしの状態が続いた。

 

しかし、2011年3月、東日本大震災の勃発で急展開をみせる。与党内にこれを好機として郵政株を復興財源にする案が急浮上する。まさに、ショックドクトリン。

 

その後、2012年3月に民主、公明、自民が現在の「郵政民営化法改正法」について3党合意し、4月27日現在の「郵政民営化改正法」が可決成立となった。

 

最終的には、郵政の株式売買資金を311の復興予算確保するため、「改正郵政民営化法」が施行されたが、この改正法を米国は気に入らない。

この法律は妥協の産物だが、「郵便と金融のセットのユニバーサルサービスを、全国あまねく公共サービスとして、いつでも公平に国民に提供せねばならない」と明確にしており、問題はあるが一歩前進しているためである。

 

 

【改正郵政民営化法とは?】

郵政民営化の定義・目的を変更

郵便事業会社と郵便局会社を統合する

③郵便だけでなく、金融についてもユニバーサルサービスとする

など、従来の小泉郵政民営化路線と比べれば確かに前進面があった。しかし、どうしても制度上、おかしな点が残っている。

 

たとえば、

①金融ユニバーサルサービスを義務化すると言いつつも、ゆうちょ銀行、かんぽ生命には義務化していない

②「郵政事業に係わる基本的な役務の確保等を勘案しつつ」と但し書きを加えつつも、できる限り早期に処分する

としてしまっている点などだ。

 

 

Ⅲ 安倍成長戦略の中で進められる郵政、保険共済、金融分野の流れ

 

成長戦略2015が出されている。さまざまこの間の成長戦略の上書きしたものだが、ただ一段と現実味を帯びている。安倍政権成長戦略2015年は、2014年とほぼ同じ。雇用制度改革では、多様な働き方の実現として派遣法改正が現実味を帯びてきた。国家戦略特区の実現、公的・準公的資金の運用等、これは年金基金の株式流用として具体化している。年金基金を50%まで株に流用するなど誰も考え付かなかったが、成長戦略として出ていることに要注意。

 

日本郵政は、すべてアベノミクスを支援する経営方向となっており、安倍政権のために忠実に動いている。原発プラント輸出と郵便インフラをアジアへ国際展開戦略として行っている。

 

また、膨大な設備投資を具体化する、「新中期経営計画2015~2017」を策定した。「中計」とは、投資家対策、日本郵政グループの成長戦略であり、最大の特徴は、投資戦略であり、不動産事業なども加速させる内容だ。JPタワーなど11、大阪は、ブランズ豊中南桜塚、大阪中央郵便局跡地イベント広場、仮設局舎等々。

 

2兆円の設備投資の一部を、外国企業のM&A資金に充てる。

一例として、豪トール社を6200億円で買収し、アジア、欧米地域でさらなるM&Aを実施するとしている。グローバル市場は、すでに大手4社が席巻しているのに無謀な挑戦だ。    

 

 

ゆう貯・かんぽ資金運用を、国債からリスク性資産運用拡大へと変える。これまで最大の国債購入先だったが、国債運用は、80%から50%に。国債運用は2015年3月決算で前年対比ゆうちょ銀行ではマイナス20兆円、かんぽ生命ではマイナス4兆円と急減している。そして、2017年SP国際分散投資総額60兆円とし、海外で発行・保管されている有価証券に投資する計画。

 

日本郵政と金融2社の株式上場計画は、6月末に本申請で10月株式上場予定。3社同時上場を西室社長が強引に進める流れになっている。通常20%程度の株主配当性向を50%、つまり純利益の半分を株主配当に回すとしている。そこまでしないとこの会社の株を誰も買わないという弱さを示す数字だ。株式上場も無茶だが、高値で売りたいがために無茶をしており国民の利益にならない。

 

 

Ⅳ 成長戦略に対して国民生活擁護の運動づくり

 

国民のための郵政事業を守る運動づくりが必要。郵政事業は、国民の共有財産であり生活インフラだ。逓信省から始まり歴史も長い。現在は、改正郵政民営化法が全て縛っている。郵便局で一体的に利用できること、全国ネットワークを維持すること、公益性及び地域性が十分発揮されることが明記されている。郵便・貯金・かんぽは、いつでも、公平に、生活基礎サービスとして情報・モノ・カネの交流を支える基礎的なサービス、インフラとして必要だ。

 

 

【TPPと郵政事業

まず、アフラックの問題。2013年7月26日、日本郵政アフラックの業務提携により、全国2万の郵便局でアフラックがん保険を販売することになった。これほど、TPPの恐ろしさを示す例はない。

 

日本郵政は、新規業務にストップがかけられただけでなく、郵便局ネットワークをアフラックがん保険の販売網に変えられ、がん保険市場を独占的にアフラックに明け渡す役割を担わされる。

 

これは、アメリカが要求している「競争条件の平等」などでなく、「市場の強奪」というべきもの。民業圧迫はだめ、という一方で、あきらかにダブルスタンダードだ。

 

この問題は、それだけにとどまらない。国民皆保険制度の空洞化とセットで進む、米国型の医療制度、民間医療保険で医療をまかなう方向性を想定した、医療保険への進出が次にねらわれている。

 

しかし、別にアフラックでも良いじゃないかという声も聞こえてきそうだが、アフラックという会社がどういう会社かを知る必要がある。

 

アフラックは、「膨大なノルマ」、「販売偏重の経営方針」、「運用の不透明性」で、金融庁から再三指導が入っている問題企業。また、アフラックは、現地法人化せず、日本支店であるために売り上げのすべてを本社アメリカが吸い上げている。問題はここにある。

 

つまり、一旦吸い上げた資金が、どのように運用され、どういう利益構造かが問題。

本来なら国内で運用されるべき資金が、アメリカに流れている。つまり国民の零細な預貯金からの掛け金が、アメリカにすべて吸い上げられてしまっているのだ。

 

第2に、日米二国間協議では、貿易障壁報告の内容を遡上にあげ、かんぽ生命の新商品展開にストップを迫り、麻生大臣から政府方針として、当面、新規商品展開を行わない談話を発表させてきた。その結果、日本郵政に、金融2社株の上場を正当化する口実を与えている。

 

第3に、金融2社の新規業務にストップをかけられ、郵便局への委託手数料の減少により、ユニバーサルサービス維持に支障が生じている。

 

 

【株式上場の問題点】

 

東証の上場基準からみて収益性に問題がある。上場後、利益が出ない可能性もある。親子上場、利益の2重取り、利益相反で、少数株主を守れない。

 

また、社員の約半数が非正規社員であり、非正規差別や30年を超す労働争議等の劣悪な職場労働実態の問題など、企業としての健全性が問われている。さらに、外資規制はなく、日本の民間保険会社の3分の一が外資に乗っ取られた実態を見た時、余りにも無防備に過ぎる。

 

さきほど、「金融2社にユニバーサルサービスが義務化されていない」と言ったが、これは、TPPとも関連する重大な問題。地方の多くの郵便局は、不採算局。金融2社は、毎年、委託手数料を郵便局に収め、消費税を国に支払っている。郵便局は、金融2社からの委託手数料があって、始めて運営ができる。

 

新たな株主は、不採算郵便局からの撤退を要求する可能性は十分すぎるほどある。もし、そうなるとドイツやニュージーランドがそうであったよう、地方の郵便局の閉鎖という事態が生じてしまう。郵便局ネットワークが維持できなくなり、通信のユニバーサルサービスも維持できなくなってしまう。

 

先日私たちユニオンから「郵政株式上場に関する提言」を発表した。本日資料としてお配りしている。是非皆さまのご意見をお願いしたい。

 

「郵政株式上場に関する提言」はこちらから→

http://www.piwu.org/kabusikijyoujyounoteigen.pdf

 

<文責:ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク事務局>