「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

私たちは、日本政府にTPP交渉における「国民への説明責任を果たす」こと、衆参農林水産委員会における「国会決議を遵守する」ことを求め集まった、大阪で活動する約30団体のゆるやかなネットワークです。FBページはこちらから→https://www.facebook.com/tpposakanet/

5/24開催報告 「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」①<報告2>医療制度、医薬品をめぐって

5月24日(日)ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク主催で実施した

TPPとくらしを考えるシンポジウム①「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」から、医療制度、医薬品についての報告2です。

 

※7/12開催のパート2案内はこちらから 

当日配布資料はこちら当日の配信動画はこちらから。

<報告1>食料輸入と食の安全をめぐって はこちらから

 

「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」①

<報告2>医療制度、医薬品をめぐって

安田雅章さん(大阪保険医協会副理事長)

 

1、TPPの医療への影響

TPPの医療への影響としては、国民皆保険制度の空洞化と営利企業の参入があげられます。

 

医師は、医師法に基づいて仕事をしておりまして、非営利であります。医療行為は公益性を持っており、その上で国民皆保険制度が成り立っているのであります。この点が大事なことです。

そうであれば、保険給付範囲の縮小(保険外し)、混合診療の全面解禁、医療特区という事態が進めば、皆保険を守ったとはとても言えないと考えます。

 

株式会社による医療経営とは、どういうものでしょうか。

医療法人と株式会社との大きな違いとしては、次のことが考えられます。

医療法人の場合には剰余金が出れば、最適な治療をした結果として得られた剰余であり、これは医療のための再投資に向けられます。

株式会社の場合には「利益の最大化」をめざして、「費用の最小化」を追求し、その結果としての利益は株式所有者に配当することとなります。

 

2、新薬の高額設定を求めるアメリカ

米国の薬が日本に大量に入ることになれば、薬価は1.5倍となり、医療費の高騰が予想されます。現在は、日本では2年に一度、薬価・診療報酬の改定があり、適正な価格体系を検討しており、安い料金で医療を提供できています。しかしながら、米国の要求に沿って、薬価・診療報酬制度を変更すれば、医療費は上がり、医療格差が生み出され、国民の医療の空洞が進行します。

 

先日、日本の保険診療として認められた、C型肝炎の新薬「ソバルディ」は、一日一錠服用で7万円であり、28日間飲み続けねばならず、薬代は約200万円を必要とします。日本には、この症状の患者さんは、約200万人いますので、200万円×200万人分の巨額な医療費がかかります。しかし、米国並みの価格水準で購入すると仮定すれば、日本で個人輸入すれば約10万円しますが、健康保険のお蔭で7万円に抑えられている訳であります。

 

高額な薬価設定を維持し、特許を長く使えるようにするために、一つの薬で2000位の特許申請をします。このように多くの特許を介入させますと、後発薬の開発が抑えられます。後発薬が、どこかの特許に抵触するように手立てを考えて、高価格な薬価を維持しています。

 

3、日米構造協議で医療にどのような影響があったか。

1993年には、日本政府は米国から、「医療技術・サービスへの外国企業の参入、自由競争の拡大」を求められています。

 

1994~2008年までの15年間に、米国の要求に基づいて、栄養補助食品厚生労働省審査除外、ビタミン剤の保険外し、グルコサミンコンドロイチンなどの各種サプリメントを保険から外され、栄養補助食品の販売は自由化されています。

 

2001年には、米国から医療機器承認の迅速化を言われています。承認に時間がかかることは事実ですが、早くした場合には、安全性の問題が懸念されるところであり、慎重にすべきだと思っています。

その他、レセプトオンライン請求の完全義務化については、2015年4月から予定されていましたが、一部変更して実施されます。マイナンバー制度も同様ですが、個人情報流出の危険性があります。

 

2002年には、米国からコスト削減・効率化の要求が出ています。一般医薬品のインターネット販売、うがい薬の保険外しなどが要求項目です。

 

2010年には、米国から「新薬創出等促進加算」の導入を要求されています。新薬の特許期間が切れて、後発医薬品が発売されるまでの間、発売時の薬価を維持するための制度を診療報酬改定で試験的に導入するものです。特許が切れると、薬の名前を変えて薬価を維持します。どんどん名前が変わるため、医者も薬名を覚えきれないほどであります。

 

このように、米国の要求項目は、ほぼ数年中に要求どおりに実施されて来たことが分かります。

 

4、TiSA(新サービス貿易協定)

TPP以外にも、TiSA(新サービス貿易協定)交渉が進んでいます。モノ以外のあらゆるサービスの規制緩和であり、社会保障規制緩和を狙っています。民間保険会社のマーケット拡大、営利企業のために医療市場の開放、ビッグデータの活用で、新たなビジネスチャンスが生まれます。

 

こうした米国の要求は、日本政府の成長戦略に記載されている、医療費抑制策である、「入院から在宅へ」と奇妙に合致しています。入院から在宅に変えるためには、生活環境や介護者の考え方などさまざまな条件整備が必要であるにもかかわらず、半強制的に、2025年までに実施しようとしており、大きな問題を内包しています。

 

医療を成長戦略とすることには、なぜ無理があるのでしょうか。

医療はピラミッド型の構造で成り立っており、地道な地域医療から、緊急性を要する医療や高度な医療は上の病院に、とさまざまな役割分担があって、日本の医療制度が成り立っています。医師一人で医療ができるわけではなく、こうした医療制度の上で、国民の健康は維持されます。単独の病院だけで医療が成り立っているわけではありません。

 

5、成長戦略と医療・介護の市場化

規制改革会議で「患者申出療養(仮称)」が提言され、先日、医療保険制度改革法案の中で可決・成立しました。「患者の申し出」を起点としていますが、国内未承認薬などの迅速な保険外併用で使用するための仕組みであります。患者の責任において、医療を実施するものであり、混合診療の自由化であります。「保険収載のめどがたたず患者負担が増大」します。そして、患者の自己責任・自己負担で行う治療でありますので、大きな問題を残しています。

 

本当は入院のほうが、コストは安くつくと思うのでありますが、政府は在宅を主張しています。在宅の場合は、地域包括ケアシステム、ボランティアによる支えあい、ヘルスケアリート(高齢者施設を対象とした不動産投資)。高齢者向けビジネス、ヘルスケア事業の地盤となりますが、経営者が変わることで方針が変わればどうなるのか、心配です。

 

同じく、産業競争力会議では、「医療特区」で医療ビジネスの推進を言っています。医療特区が進めば、皆保険制度は骨抜きとなり、日本全国で医療特区だらけとなります。

 

6、地域での実践、地域から情報発信を

大阪府地域医療介護保険確保計画では、「病院のうち民間病院は483ヵ所と91%を占め、救急搬送の77%が民間病院で担われるなど地域医療・政策医療の推進に大きな役割を果たしていることも特筆である」と記載されています。

 

規制緩和によって、消費者にとっては選択肢が広がり、豊かな社会が実現できると盛んに宣伝されましたが、現実はどうでしょうか?

 結果として、お金のある人は十分なサービス提供を受けたかもしれませんが、そうでない人にとってはサービス格差が広がったというのが、この10年間の実感です。

 そして、社会や政府の責任で担われていたものが、個人の責任となっており、あなたが決めたことでしょうという考え方が大きな流れとなっています。

 これが、この間の日米2国間協議を踏まえて考えた際に、浮かび上がってきた現実であります。

 

 

  TPPが日本の医療制度を壊すといっても、医者の中でもそうは思っていない人もいます。医療は成長戦略の構成要素だと思っている医者もいます。

 

でも、医療制度はどのようにして成り立っているのかを考えた場合、地域・底辺の医療の現状を理解していない人も多く、医療の現場を理解していただきたい。国民の生存権を守り、非営利、公共性を理解して、医療活動に従事する医師が多くなれば、患者さんにも医療現場の現実を理解していただく活動が活発になると思います。

 (文責:ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク事務局)

5/24開催報告 「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」①<報告1>食料輸入と食の安全をめぐって

5月24日(日)開催 ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク主催

TPPとくらしを考えるシンポジウム①

「過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~」報告

 

※7/12開催のパート2案内はこちらから 

当日配布資料はこちら当日の配信動画はこちらから。

 

<報告1>食料輸入と食の安全をめぐって 

飯田秀男さん (全大阪消費者団体連絡会事務局長)

 

1.食料輸入に対するある警告

まず、有名なジョージブッシュの演説の紹介から始まりました。

「食料自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ。」

これはどこを指しているのか?日本ではないか。

米国からの警告として他にも「エサ(飼料)穀物を全て米国から供給すれば、日本を完全にコントロールできる。」というものもある。

 

2、食料・飼料輸入量と自給率と交渉の推移

 今から50年前は日本の食料自給率はカロリーベースで70%超えていたが、近年40%をうろうろしている。近年は3000万トン以上の食品を輸入し続けている状態。飼料自給率は30%以下と低迷。

輸入が増えてきたこの間に、どういった交渉を経ているのか。

 

 1955年にGATTに参加。1970年代以降、米国から輸入への圧力が、日本にかかり始め、78年の牛肉オレンジが第1のピーク。

1994年末にウルグアイラウンドが決着し、1995年のWTO加入する際に、小麦・大麦・乳製品等の輸入数量の制限が撤廃された。

1999年にはコメの関税化が行われた。高い関税ではあるものの、自由化への道が始まった。

2003年米国でBSEが発生。一旦、輸入禁止になったものの、輸入規制緩和の圧力がかかり、徐々に輸入月齢制限が引き上がっている。

 

3、日米政府間の協議がどのように進んできたのか。

2011年までのものは、外務省HPで公表されている。しかし安倍政権後、交渉内容が公表されていない。 

 

具体的にどういった方法で規制緩和への圧力がかかっているのかをみると、主に、この3つだろう。 

①日米両国の政権同士による合意に基づく協議

②USTRによる外国貿易障壁報告書。毎年度、日本語訳が外務省HPで公開される

③在日米国商工会議所意見書に基づく個々の具体的な要求書

  

③は、戦後すぐにできた組織。

現在は40数か国の企業が加入し、60を超える委員会があり、意見書をつくり日本政府に対して政策提言している。

これまでの政権で出されている規制緩和政策を誘導するような提言がでている。(以下主な意見書をリストアップしたもの)

 

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 4、規制緩和要望書にみる歴史

①政権による合意の基づく協議

日米交渉のやりとりがまとまった文書が初めて出るのは1996年。「規制緩和の提案」「行政に関する法律、規制及び慣行の改革」「競争政策」の3つのジャンルで非常の多くの分野が列挙されている。

 

2011年版では日米経済調和対話での米国側関心事項は、大分類でも12項目。知的財産権、郵政、保険、透明性、運輸・流通、エネルギー、医療品・医療機器など。

 

②外国貿易障壁報告書

2014年はやり取りが公表されていない。大項目は7分野。 

2015年版がこの4月公表された。大項目は8分野。今回、「衛生植物検疫」が新たに出てきたのが特徴。

 

ずっと要求され続け、日本政府がそれを実現すると翌年には要求事項が削除されている。実現しないと毎年同じ文言が並んでいる状況。

 

③在日米国商工会議所の意見書の要望はといえば、それぞれいつまで有効かと書いているのが特徴的。ここには、IRリゾート、医薬品等の診療報酬改定や、農協改革についても書かれている。

 

 

5、食の安全を脅かす米国の要求

BSEは「管理されたリスク」として、現在、月齢40か月までの緩和要求されている。

 

レモンはスーパーで「TBZを使っています」と表示されているのは、厚生労働省が今は食品添加物と見なしているから。これを表示しなくてよいように「農薬扱いにしろ」と言っている。

有機農産物を輸出しやすくするために、有機農産物の定義を米国の定義にあわせろと要求している。

「殺虫剤・農薬の残留許容限界をゼロにすることは不可能。だから米国並みに殺虫剤を投与しても、米国基準で有機農産物と認定されるのであれば日本でも有機農産物として扱え」と要求している。

 

今、話題なのはアフラトキシンに汚染されたとうもろこし。これを食べた乳牛から牛乳へと、汚染が移っている。

農林水産省の輸入飼料検査では、「検出されているが、基準値以下のので問題ない」という報告が毎年出されている。一方、厚生労働省管轄の輸入食品としての「とうもろこし」の検査では、毎年、米国産「とうもろこし」にアフラトキシン汚染で違反が見つかっている。汚染が見つかり、毎年、6万トン以上の米国産「とうもろこし」が廃棄処分となっている。厚労省の輸入食品の検査基準は、「アフラトキシンは検出されてはいけない」というのが基準。アフラトキシンは自然界に存在する最強の発がん物質でもある。

 

毎年、検査で米国産の人間がそのまま「食べるとうもろこし」はひっかかっている。食べるほうは、ほぼ全数検査をしており、全体の2%が汚染検出。

  

しかし、エサ(飼料)用とうもろこしでは農水省管轄検査で60件くらいしか検査していない。その限られた件数で、「基準超えの汚染無し」とされている。全数検査している食べるとうもろこしの汚染状況から考えても、エサ用はそれ以上に汚染されていることは確実。

ずっとエサ用とうもろこしの輸入を迫られてきた背景があり、検査体制もゆるくなっている。

 

 

6、国民の健康増進を目指すという政府の成長戦略「機能性表示食品制度」とは?

食品の機能性表示制度が、2015年4月、消費者庁管轄でスタートした。トクホは8000億円市場、機能性表示は2兆8000億市場と言われる。

「機能性表示を進めて成長戦略を」と記者会見でも発表し、安倍政権の政策のように言っているが、「1994年にできた米国のダイエタリーサプリメント法と同じように」と、1996年から「栄養補助食品」の項目で要求されているもの。安倍政権の独自政策ではない。

 

・機能性表示は何が問題か。

機能性表示食品は5月24日現在、21件届け出されており、ほとんどがサプリメント。機能についての説明は例えばひとつ目、「ラクトフェリンが含まれるので…内臓脂肪を減らすのを助ける」などと書かれている。このように消費者庁への届け出リストを見ると「Aが含まれる。Aはこんな機能があると報告されている」のセットがほとんど。これは最終製品での臨床試験がされていないということ。

 

「何の効用があるか」の表現は、トクホの宣伝と非常に似ている。6月以降商品がでてくるが、買い物する際、トクホと機能性表示なのか、消費者には分かりづらい。トクホは現在1147品目ある。おなかの調子を整えます、中性脂肪、血圧など病気の原因になる要素を取り除く…などが多いが、根拠は実験データが得られたことが前提。

 

機能性表示はそうではない。「○という成分が含まれます。○にはこんな効果があると報告されている」と効果がある成分が入っているというだけ。効果があるとは言っていないが、消費者に対して「効果がある」と勝手に思わせるもの。自主申告=企業責任で、機能性表示ができてしまうが、企業が責任追うものではなく、効果があると思って使ったのはあなたでしょ、という論理になる。

 

だが、機能性表示よりもトクホが優れているということになるのか?

例えば血圧。どのくらいの数値がよいのかも微妙。高すぎる場合は、下げるのに薬を使うが、その効果も微妙なものが多い。有意差あるといっても、2~3%程度。5~10年たってようやくわかるかどうか。薬であっても、専門家の判断ですら評価が分かれるものを、トクホや機能性表示で効果が出るなどは考えにくい。

 

米国でも、「科学的根拠がない」「有効性の実証に当たり、考慮すべきとされた点が考慮されていない」などの問題がすでに指摘されている。

  

これまで米国の規制緩和要求は、長期にあたって歴史的、構造的であり、日本経済・国民生活に強い影響を及ぼしてきた。 

 

「国内経済対策」として打ち出された規制緩和政策も、米国の要求事項と重複しており、決して日本政府が主導したものではないことがよく分かる。

 

(文責:ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク事務局)

 

【7/12(日)開催】TPPとくらしを考えるシンポジウム『過去からよみとく未来予想図② ~外国貿易障壁報告書などを受けて~』

【7/12(日)開催】TPPとくらしを考えるシンポジウム②
『過去からよみとく未来予想図
 ~外国貿易障壁報告書などを受けて~』
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食の安全が脅かされ、お金持ちしか医療を受けられない?かんぽや郵貯が狙われている? 
TPPと並行して進んでいる日米協議では、日本の大幅譲歩の報道も。

1980年代に始まった「日米構造協議」の歴史は何を物語るのでしょうか。
これまでの大店法改正や郵政民営化もその軌跡。
そしてまた「外国貿易障壁報告書」が更新されました。
...
このシンポジウムでは、米国の対日要求と日本社会の変化について、私たちの生活にどんな影響を与えていたのか、これからどうなるのかを明らかにしていきたいと思います

◇日時:7月12日(日)13:30~16:00(13:00~開場)

◇各分野からの報告
郵政民営化と保険商品の窓口販売
 松岡幹雄さん (郵政産業労働者ユニオン副委員長)

知的財産権と司法
 和田聖仁 弁護士(東京弁護士会

◇主催:ほんまにえええの?TPP大阪ネットワーク
◇参加費:500円
◇会場:国労会館3階大会議室
(JR天満駅下車、北側線路沿いに京橋方向へ徒歩3分)


※第1回目5月24日(日)シンポジウムでは「食」「医療」を開催しました。

第1回目配布資料はこちらから
https://drive.google.com/file/d/0Bz4cgaa9CBKLOWxRVV9pNGF2ZUE/view
 

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5/24(日)開催!TPPとくらしを考えるシンポジウム『過去からよみとく未来予想図~外国貿易障壁報告書などを受けて~』

以下イベントを開催します。ぜひご参加ください!

TPPとくらしを考えるシンポジウム
『過去からよみとく未来予想図 ~外国貿易障壁報告書などを受けて~』
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食の安全が脅かされ、お金持ちしか医療を受けられない?かんぽや郵貯が狙われている? 
TPPと並行して進んでいる日米協議では、日本の大幅譲歩の報道も。

1980年代に始まった「日米構造協議」の歴史は何を物語るのでしょうか。
これまでの大店法改正や郵政民営化もその軌跡。
そしてまた「外国貿易障壁報告書」が更新されました。

このシンポジウムでは、米国の対日要求と日本社会の変化について、私たちの生活にどんな影響を与えていたのか、これからどうなるのかを明らかにしていきたいと思います...

◇日時:5月24日(日)13:30~16:00(13:00~開場)

◇各分野からの報告
●食料輸入と食の安全をめぐって
 飯田秀男さん (全大阪消費者団体連絡会事務局長)
●医療制度、医薬品をめぐって
 安田雅章さん(大阪保険医協会 保険医協会副理事長)

◇主催:ほんまにえええの?TPP大阪ネットワーク
◇参加費:500円
◇会場:国労会館3階大会議室
(JR天満駅下車、北側線路沿いに京橋方向へ徒歩3分)
 
<予告>
7月12日(日)13:30~16:00、保険・金融・共済、司法や知的財産権問題をテーマとするシンポジウムを同会場で開催します。

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3/13付で声明発表「国会決議を遵守し、「脱退も辞さず」の堅持を求めます」

「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」として、2015年3月13日付で、安倍首相、甘利担当大臣、各政党、衆参農林水産委員会委員宛に、以下声明を発表、送付いたしました。

 

『国会決議を遵守し、「脱退も辞さず」の堅持を求めます』

 

安倍内閣が、国民の懸念や疑問に答えることなく、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加に踏み切ってから2年になります。日本政府はTPP交渉の早期妥結をめざすとして、米国とともにそのリード役を買って出ています。しかし、度重なる実務者協議や閣僚会合では、「交渉の進展があったものの、合意には至っていない」と繰り返されるだけで、国民には交渉内容が明らかにされないまま、合意に向けた動きが加速されようとしています。

 

報道によれば、日米2国間協議において、日本政府が米国政府の要求に譲歩を重ねている姿が浮き彫りになっています。伝えられる情報では、米国からの主食用米の特別輸入枠を設定し、従来のミニマム・アクセス米に加えて5万トンもの米の輸入枠を設けたり、牛肉・豚肉の関税を大幅に引き下げる譲歩を日本政府が行っているとされています。日米2国間協議でこのような取り決めが合意されるようなことになれば、その内容がTPP交渉に準用されていくことは明らかであり、日豪EPAに続いて、日本政府は重大な国民への背信行為を働くことになります。

 

2013年4月の衆参農林水産委員会の決議は、農産品の重要5品目を「除外又は再協議」とし、「重要5品目の聖域が確保できないと判断した場合は、脱退も辞さない」としています。同決議が求めている情報開示もしないまま、交渉を続けることは認められません。

 

米国政府は、大統領選挙の予備選準備が本格化する今年後半までの交渉合意をめざし、この3月に「大筋合意」のための閣僚会合を模索していると言われています。日本政府もまた、前のめりとなって、国会決議を踏みにじる日米合意、そして12カ国合意を狙っています。

 

 これまでに明らかになったように、TPP協定は、農業や食の安全に限らず、保険・共済、公共調達や雇用、医療、さらには地域経済や国家主権までも脅かすものです。

 

私たちは、国会決議を踏みにじり、情報公開もされないまま、国民生活犠牲の上に立って進められているTPP交渉を認めるわけにはいきません。

 

TPP交渉及び日米2国間協議の現局面は、これ以上交渉に踏み込んでいくことは衆参農林水産委員会決議に反することとなることを示しているのではないでしょうか。

 

以上により、私たちは、日本政府に、衆参農林水産委員会の決議を遵守し、直ちにTPP交渉から撤退することを求めます。

  

2015年3月13日

ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク 

 

【ほんまにええの?TPP大阪ネットワークは、2014年3月8日に結成されたネットワーク組織です。3月現在、以下の29団体が加入しています。】

ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク加入団体(29団体)

大阪医療労働組合連合会

阪食糧・農業問題研究会

大阪自治体労働組合総連合

大阪府歯科保険医協会

大阪府農業協同組合中央会

大阪税制研究所

大阪府保険医協会

大阪民主医療機関連合会

大阪労連・大阪市地区協議会

金融労連近畿地方協議会

憲法を行政に生かす大阪の会

国家公務員労働組合大阪地区連合会

進歩と革新をめざす大阪の会

新日本婦人の会大阪府本部

特定非営利活動法人 建設政策研究所 関西支所

特定非営利活動法人 AMネット

自由法曹団大阪支部

食料を守り日本農業再建をすすめる大阪府民会議

生協労連大阪府連合会

全大阪消費者団体連絡会

全大阪借地借家人組合連合会

全大阪労働組合総連合

全損保労働組合大阪地協

全農林近畿地本大阪分会

TPPに反対する弁護士ネットワーク

日本の伝統食を考える会

農民組合大阪府連合会

民主法律協会

郵政産業労働者ユニオン大阪府協議会

2014年7月提出の要請書

2014年7月31日付で、内閣総理大臣、各政党、衆参の農林水産委員会の委員宛に私たち「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」として以下要請書を送りました。

 

要 請 書 

 

安倍内閣は、国内各界の懸念や疑問に答えることなく、昨年3月、TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加を正式に表明しました。以来、閣僚会合や首席交渉官会合、日米2国間協議が進められてきましたが、交渉は合意に至っていません。

2014年3月8日、大阪で活動する市民団体、消費者団体、生産者団体、労働組合、法曹専門家団体等が集まり、「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」を結成しました。そこに至るまでにも、私たちは学習集会やシンポジウムを重ね、TPP交渉は、物品の関税撤廃だけでなく、食の安全、保険・共済、医療、公共事業、雇用、知的財産権など幅広い分野にわたる取引・契約ルールが対象になっており、それへの参加は、国民生活に重大な影響を及ぼすことを学んできました。

政府は、TPP交渉と並行して日米2国間協議をすすめています。そこでは、米国が、これまで米国通商代表外国貿易障壁報告書等で求めていた食の安全基準や医療、公共事業、保険、自動車、通信分野などの市場開放、規制緩和を政府に迫ってきています。既に、政府はBSEの輸入月齢緩和やがん保険の市場開放などを行い、米国の要求を受け入れました。

学習すればするほど、私たちには、TPP交渉に参加することや協定に加入することに疑問や懸念が広がります。生産者団体や市民団体、学識者など多くの団体がTPP協定の危うさを指摘し、交渉から撤退すべきとの声をあげています。政府には、こうした国民各層の疑問・懸念に答える責任がありますが、その責任を果たしているとは思えません。

7月13日、私たちは、「ほんまにええの?TPP」シンポジウムPARTⅡを開催し、雇用・労働法制、医療、子育て・保育、中小事業者と規制緩和をテーマに議論を行いました。私たちは、当日の学習と議論で、安倍内閣が進めている国内の規制緩和政策がTPP協定と符合するとの思いを強くしました。

そこで、シンポジウム参加者の総意として、政府に次の事項を求めることとしました。

1. TPP交渉における国民への説明責任を果たすこと

2.衆参農林水産委員会における国会決議を遵守すること

3.くらしを破壊する規制緩和をやめること

政府においては、この趣旨を受け止め、真摯に対応することを求めます。

 

2014年7月31日

「ほんまにええの?TPP」シンポジウムPARTⅡ参加者一同

11/29TPPシンポジウムより「食卓から考える私たちのくらし」浅岡元子さん(日本の伝統食を考える会事務局長)

「食卓から考える私たちのくらし」
  浅岡元子さん(日本の伝統食を考える会事務局長)

(当日の速記をもとにしています)

 

 日本の伝統食を考える会の活動を紹介します。
 私は、兼業農家に生まれ育ち、小さい時から食に関心がありました。


 日本の伝統食を考える会の活動を知り、おもしろそうだと興味を持っていて、活動を初めて13年が経ちます。この会は1981年に誕生しました。初代の会長は、栄養士の宮本智恵子先生でした。宮本先生は、近くの商店街界隈の高齢者の足腰がとても丈夫なので、何を食べているのかと聞くと、「しょうもないもん食べてるねん」との回答が帰ってきました。詳しく聞くと、米食中心の伝統的な食だったのです。

 

 1992年に「伝統食列車」がスタートし、2両編成のお座敷列車、約70名が試食・学習しながら、各地をまわりした。「伝統食かるた」を作り、かるたの裏に伝統食についての解説を書きました。


 伝統食列車はなぜ走ったのか。それは、外食の増加など、原因はさまざまありますが、親からおふくろの味が子どもに伝えられていないことに大きな理由があります。伝統食離れを決定的にしたのは、一貫した食料の海外依存政策の進行でした。


 伝統食列車で分かったことは、次のとおりです。


 地元でとれたものを、伝統的な食べ方で食べる、そのようなことは日本全国にあり、「本当においしいもの」が食べられる、それがよく分かりました。しかし、地元のものを作る農林水産業が廃れると、伝統食は作れなくなり、地域が寂れ、作る人も食べる人もいなくなります。


 私たちが伝統食列車で訪問することによって、地域が掘り返される、変わっていきます。地域には伝統食などないと、普段食べているものの価値は地元の人たちには分かりづらいですが、他の地域から来た人にとっては、おいしく食べるということで、再評価につながります。


 地域の高齢化が進んでいて、大変です。

今年訪問した軽米町と言えば、雑穀が有名です。外国産の雑穀は、1/5の価格であります。生麩、普通は小麦粉で作るのですが、ふすまで作ります。

なます。ほうりょう大根、地元自生のきのこ、菊の花など、たくさんの地元食材があります。キノコを見分けられる人がいて、それを地元で保存・調理することができて、初めて食べられる料理もあります。軽米町の空き家数は179戸を数えます。三陸鉄道が再開して、山と海のものを普通に食べてきたので、震災も乗り越えられた、という話を聞いた。スーパーで買っている都市の私たちとは違っていることを、強く感じました。

 

 私たちは日本の伝統食を大事にし、国産を大事にして、生産者を大事にする活動をしています。余ったものを上手に保存する技術も大事です。魚を丸ごと使い切る技術、村おこしなど多くのことを学びます。

 

 最後に日本の農政に望むことについて述べます。
 食卓から考える私たちの暮らしにおいては、農政を変えないといけないですが、消費者も変わらないといけない考えています。農政に一番言いたいのは、日本のコメを守らなかったということです。パン食で始まった学校給食は、米の生産量が増えた段階で、米飯給食に戻すべきだったと思います。主食がパンになることで、食が洋食化されてきました。米中心の食事があってこそ、日本の食は守られることを肝に銘じるべきです。

 

 TPPで食料を外国に依存することについて、日本の地元でとれたものを大事にしていく立場から考えますと、農業生産環境を大事にしないといけないという思いが、自然と出てきます。安心して農業に取り組められる農政に変えていくことが重要であり、消費者は国産を大事に守り、食卓から食のあり方を変えていく、取り戻すという気持ちを大事にしたいと考えています。

 

<文責:ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク事務局>