読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

私たちは、日本政府にTPP交渉における「国民への説明責任を果たす」こと、衆参農林水産委員会における「国会決議を遵守する」ことを求め集まった、大阪で活動する約30団体のゆるやかなネットワークです。FBページはこちらから→https://www.facebook.com/tpposakanet/

開催報告『公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』 報告2「TPP協定第15章 政府調達」

 

『TPPとくらしを考える学習会 第3回』は、
公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』

報告2は、「TPP協定第15章 政府調達」

今回は公共事業の観点として、政府調達だけでなく、国有企業、投資章も絡ませて説明いただきました。

 

報告1は、こちらから→

「公共事業の入札のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか」

 

 

報告2:「TPP協定第15章 政府調達」

 

報告者 樫原正澄さん(関西大学教授、TPP大阪ネットワーク代表)

 

1、TPP協定によって、政府調達はどうなるのか

政府調達について、TPP協定の15章「政府調達」、17章「国有企業」を手掛かりに考える。

 

TPP以前、WTOからすでに政府調達協定(GPA)は入っており、1981年に発効している。しかしながら、加盟国が広がっておらずTPPを起爆剤として広げていきたいと言う思惑があるのではないか。

 

先進国が途上国に「攻めていく」こと。アジアにおいて中国に負けては困るという、アメリカの戦略と考えられるかもしれない。地味な分野ではあるが、着実に機能を発揮するのではないか。

 

TPP協定における政府調達の特徴は3つある。

①使用言語

英語中心である。発注するのに普通は10日でできるが、英語だと40日かかる。審査していくのも英語である。日本語だと簡単にできるのに、手間がかかるという問題が、まずある。

 

②調達の公正性

調達の公正性というのは透明性を高める話だが、どうなるのか懸念されるところである。

 

③政府調達附属書の日本の異常な譲歩

日本の調達基準額はWTO基準が堅持されているが、TPP交渉参加国全体の中でみれば、日本は異常に譲歩していると見える。

 

2、TPP協定第15章「政府調達」の内容について

・基本原理としては、内国民待遇と非差別待遇(15.4条)である。

 

・使用言語(15.7条)は、TPP特有である。TPPは、「使用言語」については英語を奨励している。

 

・調達の公正性は、TPP特有である。

 健全性の確保を主張しており、①政府調達における腐敗行為への行政ならびに刑事上の措置の確保、②違法行為等の供給者の参加資格の剥奪等、③調達従事者等の潜在的な利益相反の排除が、指摘されている。

 日本への影響としては、日本の「談合社会」への懸念が挙げられる。

 

・中小企業の参加の促進は、TPP特有である。具体的にどうなるのかは不透明である。

 

・政府調達に関する小委員会

本章でも、小委員会が規定されているが、具体的な規定はなく、どう機能していくのか懸念される。

 

・追加的な交渉

TPP締約国は「本協定の効力発生日から3年以内に適用範囲の拡大を達成するために交渉を(地方政府適用範囲を含む)開始しなければならない」(15.24条2項)とある。

現時点では大きな変更はないだろうが、「生きている協定」としてどういう方向に動いていくのか、注目が必要である。

 

TPP「投資」章との関係

政府調達と投資との関係は不透明な部分はあるが、「政府調達」供給者が、TPP「投資」章の投資家に該当すれば、「ISDS条項」問題が浮上することとなる。

 

・「政府調達」付属書

TPPでの日本の異常な譲歩となっている。政府調達対象基準額において、他のTPP交渉参加国よりも低く下げている。

 

 

3、TPP協定第17章「国有企業」の特徴と問題点

TPP協定の国有企業の基本的な問題点は、次のとおりである。

 ①TPP協定が国有企業章を初めて設けた。

 ②国有企業章の基本は、無差別待遇、商業的配慮であり、非商業的援助との対抗関係にある。

 ③国有企業の否定、商業ベースの競争条件の整備。

 

TPP協定第17章「国有企業」の内容について

 定義(17.1条)として、国有企業、指定独占企業と書かれている。

 

 日本の「国有企業」としては、業種別には、病院(研究機関を含む)、金融(開発・国際)、高速道路・空港・地下鉄等の輸送インフラ、投資ファンド、資源・エネルギー関連、放送・通信等である。

 日本郵政グループ、農畜産業振興機構等。

 地方自治体による公有企業である、鉄道、空港、病院等々の「公社」。

 

小委員会設置(17.12条)が本章にも入っている。

 

 追加交渉(17.14条、付属書17-C.D)の規定があり、発効後5年以内に、地方政府傘下の企業に関する留保されている規律(17-D)を適用すること、及びサービス提供による6条(非商業的支援)及び7条(悪影響)の規律を域外国市場に生じる影響に迄拡大すること、について追加交渉(17-C)とされている。

 

付属文書Ⅳにおいて、特定の国有企業等の特定の活動については、本章の特定の規律を留保できるにもかかわらず、日本は留保していない。

 

・懸念される事項としては、次のとおりである。

①国有企業の定義が不透明。

②適用範囲限定の不十分さ。

基礎的な社会インフラである、鉄道、病院、郵便事業等の取り扱いがはっきりしない。

③非商業的援助に対するISDS提訴の可能性。

④海外急送便事業を持つ郵便事業への制約。