「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

私たちは、日本政府にTPP交渉における「国民への説明責任を果たす」こと、衆参農林水産委員会における「国会決議を遵守する」ことを求め集まった、大阪で活動する約30団体のゆるやかなネットワークです。FBページはこちらから→https://www.facebook.com/tpposakanet/

【10/22(土)開催】□緊急学習会□このまま批准していいの?TPP

【10/22(土)開催】□緊急学習会□

このまま批准していいの?TPP

日 時 10月22日(土)13:30~15:30
会 場 阿倍野市民学習センタ-講堂(あべのベルタ3階
講 師 山田正彦さん(弁護士、元農林水産大臣、「TPP交渉差止・違憲訴訟の 会」幹事長、TPP阻止国民会議副代表世話人
資料代 500円 

※学習会後、16:00~17:00@天王寺
街頭宣伝行動を実施します。一緒に声を上げましょう!
ぜひご予定ください!


安倍政権は、臨時国会で、「環太平洋経済連携協定」(TPP)の批准を強行しようしています。

 先の通常国会では、政府は、関連する守秘義務があり全ては答えられないとして、徹底した情報開示拒否姿勢に終始しました。

この結果、審議はまったく深まらないまま度々中断し、法案成立と協定批准を断念せざるを得ない状況となりました

TPP協定は、そもそも自民党が2012年の総選挙で掲げた公約にも、自らが主導して行った「情報開示と国民的な議論」を求めた国会決議にも反するものです。

参加各国の承認手続きが不透明さを増すなか、批准を急ぐ理由はなく、交渉経過を含めて情報をしっかり開示して、文字通り国会を含めた国民的議論に付すべきです。

TPPは内容の上でも、民主主義的な手続きの上でも疑問があります。

8月20日には、「TPPを批准させない!全国共同行動8.20キックオフ集会」が東京で開かれ、今臨時国会批准することは到底容認できないと「TPPを批准しないことを求めるアピール」を採択しました。

今こそ、集会アピールの賛同を呼びかけ、国会審議で問題点を明らかにし、疑問点をただし、「よく分からないまま批准するのはおかしい」との大きな世論と運動を広げていきましょう。

 

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◇4月の国会審議で、TPPには関税撤廃の「除外」はない、残った関税も7年後には撤廃が求められる、「無傷のものは一つもない」ことを石原TPP担当相と森山農相が認めました。「TPP断固反対」という自民党の選挙公約、「重要5品目は除外」とした国会決議違反がはっきりしました。

 

【主催】ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク
共催】食料を守り、日本農業再建をすすめる大阪府民会議

【問合せ・申込o-shoudanren@mb8.seikyou.ne.jp(@を半角小文字に変換願います)

またはfax.06-6941-5699(大阪消団連)まで

 

 

開催報告『公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』 報告2「TPP協定第15章 政府調達」

 

『TPPとくらしを考える学習会 第3回』は、
公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』

報告2は、「TPP協定第15章 政府調達」

今回は公共事業の観点として、政府調達だけでなく、国有企業、投資章も絡ませて説明いただきました。

 

報告1は、こちらから→

「公共事業の入札のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか」

 

 

報告2:「TPP協定第15章 政府調達」

 

報告者 樫原正澄さん(関西大学教授、TPP大阪ネットワーク代表)

 

1、TPP協定によって、政府調達はどうなるのか

政府調達について、TPP協定の15章「政府調達」、17章「国有企業」を手掛かりに考える。

 

TPP以前、WTOからすでに政府調達協定(GPA)は入っており、1981年に発効している。しかしながら、加盟国が広がっておらずTPPを起爆剤として広げていきたいと言う思惑があるのではないか。

 

先進国が途上国に「攻めていく」こと。アジアにおいて中国に負けては困るという、アメリカの戦略と考えられるかもしれない。地味な分野ではあるが、着実に機能を発揮するのではないか。

 

TPP協定における政府調達の特徴は3つある。

①使用言語

英語中心である。発注するのに普通は10日でできるが、英語だと40日かかる。審査していくのも英語である。日本語だと簡単にできるのに、手間がかかるという問題が、まずある。

 

②調達の公正性

調達の公正性というのは透明性を高める話だが、どうなるのか懸念されるところである。

 

③政府調達附属書の日本の異常な譲歩

日本の調達基準額はWTO基準が堅持されているが、TPP交渉参加国全体の中でみれば、日本は異常に譲歩していると見える。

 

2、TPP協定第15章「政府調達」の内容について

・基本原理としては、内国民待遇と非差別待遇(15.4条)である。

 

・使用言語(15.7条)は、TPP特有である。TPPは、「使用言語」については英語を奨励している。

 

・調達の公正性は、TPP特有である。

 健全性の確保を主張しており、①政府調達における腐敗行為への行政ならびに刑事上の措置の確保、②違法行為等の供給者の参加資格の剥奪等、③調達従事者等の潜在的な利益相反の排除が、指摘されている。

 日本への影響としては、日本の「談合社会」への懸念が挙げられる。

 

・中小企業の参加の促進は、TPP特有である。具体的にどうなるのかは不透明である。

 

・政府調達に関する小委員会

本章でも、小委員会が規定されているが、具体的な規定はなく、どう機能していくのか懸念される。

 

・追加的な交渉

TPP締約国は「本協定の効力発生日から3年以内に適用範囲の拡大を達成するために交渉を(地方政府適用範囲を含む)開始しなければならない」(15.24条2項)とある。

現時点では大きな変更はないだろうが、「生きている協定」としてどういう方向に動いていくのか、注目が必要である。

 

TPP「投資」章との関係

政府調達と投資との関係は不透明な部分はあるが、「政府調達」供給者が、TPP「投資」章の投資家に該当すれば、「ISDS条項」問題が浮上することとなる。

 

・「政府調達」付属書

TPPでの日本の異常な譲歩となっている。政府調達対象基準額において、他のTPP交渉参加国よりも低く下げている。

 

 

3、TPP協定第17章「国有企業」の特徴と問題点

TPP協定の国有企業の基本的な問題点は、次のとおりである。

 ①TPP協定が国有企業章を初めて設けた。

 ②国有企業章の基本は、無差別待遇、商業的配慮であり、非商業的援助との対抗関係にある。

 ③国有企業の否定、商業ベースの競争条件の整備。

 

TPP協定第17章「国有企業」の内容について

 定義(17.1条)として、国有企業、指定独占企業と書かれている。

 

 日本の「国有企業」としては、業種別には、病院(研究機関を含む)、金融(開発・国際)、高速道路・空港・地下鉄等の輸送インフラ、投資ファンド、資源・エネルギー関連、放送・通信等である。

 日本郵政グループ、農畜産業振興機構等。

 地方自治体による公有企業である、鉄道、空港、病院等々の「公社」。

 

小委員会設置(17.12条)が本章にも入っている。

 

 追加交渉(17.14条、付属書17-C.D)の規定があり、発効後5年以内に、地方政府傘下の企業に関する留保されている規律(17-D)を適用すること、及びサービス提供による6条(非商業的支援)及び7条(悪影響)の規律を域外国市場に生じる影響に迄拡大すること、について追加交渉(17-C)とされている。

 

付属文書Ⅳにおいて、特定の国有企業等の特定の活動については、本章の特定の規律を留保できるにもかかわらず、日本は留保していない。

 

・懸念される事項としては、次のとおりである。

①国有企業の定義が不透明。

②適用範囲限定の不十分さ。

基礎的な社会インフラである、鉄道、病院、郵便事業等の取り扱いがはっきりしない。

③非商業的援助に対するISDS提訴の可能性。

④海外急送便事業を持つ郵便事業への制約。

開催報告『公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』 報告1「公共事業の入札のしくみ、役割」

『TPPとくらしを考える学習会 第3回』は、
公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』と題し、9/8 (木)夜開催しました。

質疑応答も活発に行われ、末尾にまとめていますので、ぜひご覧ください。

 

報告2はこちらから→

開催報告『公共事業のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか』 報告2「TPP協定第15章 政府調達」

 

報告1:「公共事業の入札のしくみ、役割とTPP~地域経済はどうなるのか」

報告者 NPO法人建設政策研究所関西支所

 

入札契約制度(入契制度)自体が一般的に知られていない。TPPで建設市場にどういった影響がでるのかを今日は考えたい。

 

1、公共工事の入札契約制度の変遷

少し前までは指名競争入札が原則で、最低価格の業者が入札する流れだったが、業者を指名する際に恣意的に選べるため、入札を巡る談合事件等があり、「透明性・客観性・競争性+国際化」の視点が重視されて、一般競争入札が導入された。災害時などの緊急時には、特別に今でも随意契約し、仕事の着手を優先して、支払いは後ということもあるが。

 

指名競争入札が一般的だったのは平成5年までである。入札談合事件が相次ぎ、昭和61年はアメリカの関空プロジェクトへの参入受け入れがあり、日米建設協議が始まり、建設分野の市場開放要求は始まった。その後、平成6年にガット・ウルグアイラウンドで、政府調達協定が制定された。

 

指名競争入札では恣意的な要素のために汚職等があり、その対策として透明性が求められたことと、米国の日本市場への参入要求という、国内事情と国際事情を背景として、平成6年以降、一般競争入札公共事業の入札契約制度(入契制度)として原則となった。現在、国の公共事業では、200万円以上の工事は全て一般競争入札となっている。

 

 

2、国交省が行っている入札契約手続き

入札に参加したければ、資格が必要である。建設業許可ならびに経営事項審査を経て、有資格者登録がなされる。公共事業競争入札に参加しようとする建設企業は各発注者に申請し、競争参加資格審査において、総合点数を算出し、点数に応じて等級別登録(ランク分け)を行い、有資格者登録者名簿を作成している。総合評価により入札が行われ、契約という流れになっている。

 

現在は、一般競争入札の総合評価方式が当たり前になっている。価格だけを優先しないで、技術力を評価して点数化して落札者を決めており、日本の公共工事の主流のやり方となっている。落札者の選定方法は総合評価落札方式、支払い方式は総価契約単価合意方式が、入札契約方式の主流となっているが、さまざまな方式の組み合わせがある。

 

「施工の力」に加えて「技術提案」の2つのポイントで評価するが、ほとんどが施工能力の評価がメインだ。企業の施工能力と配置予定技術者の実績等を点数化し、評価される。

 

大規模工事になると技術提案を求めて評価する。工事施工にあたって、どう工夫するのかと提案してもらい、その内容を評価して点数化する。総合評価方式と言っても、いろいろなタイプがある。

 

 

3、現行の海外企業の受注状況

WTO(世界貿易機関)の政府調達協定に基づいて、金額によって、今も参入できるルールとなっている。WTO対象・非対象の工事の相違は、450万SDR(当時は約6億円、今年2016年4月で約7億4千万円)以上かどうか。450万SDR以上であればWTO対象工事として、一般競争入札に参加できる。

WTO対象工事は、一般競争入札だけであり、地域要件の設定は不可(内外無差別)である。また、官報に日本語及び英語で公告を行っている。WTO対象工事とWTO対象外工事とを比較すれば、地域要件の設定が大きいだけで、それ以外にはそれ程の差はない。

 

これまでWTO政府調達協定対象工事における外国企業受注実績件数(WTO事務局への通報ベース)をみると、2006年から2010年までで、国では2007年に1件、地方では3件しか、公共事業の受注はない。設計コンサルにおいても、国では2006年に1件、地方では年により1~5件程度しかない。

オリンピックなどの工事においては、外国企業の参入がみられるが、通常の公共事業においてはほとんどみられない。

(編注:2016年米国貿易障壁報告書にもオリンピック等の工事参入への記載がある)

 

ただ、日本国内の外国企業数の推移をみると、日本の建設業許可取得企業数は平成15年で135社であり、毎年増加していることを考えると、民間の工事を請け負っているのかもしれない。

 

 

4、TPP、2015年10月大筋合意を受けての国交省の反応

政府は「アジア・太平洋地域の成長を取り込むための成長戦略の柱」としている。

国交省TPPをどう見ているかというと、「建設業・不動産業のビジネスチャンス到来」という評価である。「守りの観点では、日本の建設市場への影響はない」と分析している。現在も外国企業の受注は少ないことから、TPP交渉参加国が日本の建設市場の開放を求めてこないと分析している。

 

「攻めの観点では、進出機会増大」と考えており、ベトナム・マレーシア・ブルネイではTPPが初の政府調達を開放した。その他各国においては、チリ・ペルー・豪州では調達基準額の引下げをしており、市場開放は進んでいる。このようにTPPによって、日本企業の進出機会増大と評価している。

 

5、大筋合意を踏まえて懸念されること

私たちが懸念していたことに関して、大筋合意を踏まえて考えてみると、以下のとおりである。

 

公共工事受注機会減少の懸念

調達基準額が大幅に下がると、外国企業の競争参加が増え、国内建設業の受注機会が減少すること。また、外国企業の競争参加に伴う行政コストの増大により予算を圧迫し、発注総量が減少する。また、地域建設業者振興策としての分離・分割発注の廃止や発注ロット拡大の可能性がある。このような懸念を持っていた。

 

しかし、大筋合意を見ると、日本の調達基準額はWTO基準が堅持されており、対象規模からみれば現状と変わらない。

 

②建設工事の品質低下の懸念

競争参加条件(例えば配置予定技術者の資格等)の緩和・撤廃によって、日本の天候などの対応を含め、施行ミスや事故が発生し、品質の低下が生じる。また、「一時入国」の要件緩和による外国人労働者の増加によって、新興国からの低賃金労働者の就業に伴って、国内建設労働者の労働条件が悪化する。このような懸念をしていた。

 

しかし、現行のWTO対象工事において付している競争参加条件は、当該発注機関の登録業者(経営審査済・一定点数以上)で、同種工事の実績があり、一定の資格を持った技術者が配置できること、程度であるため、撤廃される以外は緩和のしようがない。また、建設現場における高齢化は著しく、逆に外国人労働者を確保しないと工事できない状況となっている。外国人労働者の技能育成等の対応策については、すでに業界も開始している。

 

 

③入札契約方式への見直しへの懸念

現行の入札契約制度における評価項目のうち、外国企業にとって不利とされる項目の見直し(例えば地域産材の使用や災害協力等)。経営審査点数やランク分け、地域要件等の改廃の可能性があるとして、懸念されていたが、調達基準額が堅持されていることで、海外企業の競争参加は現状と変わらないと思われ、入札契約制度への影響は少ないと考えられる。

 

 

日本独特の重層下請構造、口約束文化(それでも仕事をする)、お金の支払いも手形で現金支払いもない。まずそこで、外国企業とトラブルとなる。仕事が言ったとおりにできないと言うことになり、文化の違いで、まずまともに進まないので、外国企業は敬遠しているという見解もある。

海外に出ていくのも、為替や事故の問題などがある。橋が落ちたなどとなると、補償が大変である。売り上げがあっても、利益が伴わないのが実情である。調達基準額がWTO基準と変わらないのであれば、海外企業の市場参入の増加はないと考えられる。少し、甘い考えかもしれないが。

 

また、国際建設市場で今活躍しているトップ30社のうち半数以上は欧州・中国企業であり、TPP交渉参加国でトップ30に入っているのは、日本4社、米国3社だけである。その意味では、建設分野においてTPPは、国交省と建設業界が「進出機会」増加を意図して、動いていると言えるのではないか。

 

 

6、その他

地域経済活性化のために公契約条例があり、参入障壁とされるのではという懸念があるが、そもそも本条例を持っている自治体自体が少ないので、大きな問題となるとは考えにくい。

 

 

■質疑応答

Q日本では耐震強度は必要だが、米国では耐震強度がそもそも要求されていない環境にある。調達基準額よりも、耐震基準の対応ができるのか、安全性について疑問がある。

 

A 耐震基準などの技術面の基準、使う材料そのものは日本のJISや JASなどの規格があり、建築基準法に合格しなければならない。土木では基準法はないが、匹敵する基準書があり、その基準書に基づく設計どおりに、単純に作るだけであれば、仕様書に書かれており問題はないと考えられる。

 

まともな材料、施工できる技術力があるかが問題。企業の評価を私たちはしており、配置技術予定者はいるが、実際に働くのは下請けさん。しかし、下請けの人たちがどういう人たちかは審査対象になっていない。

極端に言えば、元請けはしっかりしているが、下請けがどうしようもないのであれば、日米にかかわりなく問題である。現状は元請けと下請けは「談合の関係」にあり、お付き合いの世界でお互いに育ってきている。下請けは、下手な仕事はしない、職人さんの腕の見せ所で守られている部分がある。

アメリカの耐震基準そのままでは、日本の法律上できない。日本の法律までなくせということは、TPPでならないのではないか。

 

Q日本の基準が過剰だと、訴えられることもあり、文句を言われるのでは?

 

A 可能性はなくはないが、同じ競争条件で日米競争する、優遇すれば違反というのが一般的な考え方。

同じ条件とはなんぞや?国内の基準が、競争を阻害するものになるのかどうかが焦点となる。阻害するもので撤廃すべきものだとなると、チャラになったりする。利用者・私たちの国民に関わる問題になっていくと言うことだが、どうなるのか。現時点では誰も分からない。外国企業が訴えた時に問題になるが、訴えなければ問題にならない。

 

 

Q 発注通り作るより、あうんの呼吸、発注したものより、良いものを納めてくれるだろうと言うのがあるのでは?日本人同士だと上を目指す傾向があるが、海外企業と取引をした場合、発注どおりの仕事しかしない。発注側の能力が心配である。

 

Q 基準を厳しくして、日米くらいしか入れないようにする可能性もあるのではないか。

 

A 米国の発注者に、基本的に技術者はいない。契約する人はいるが、技術者の部署はなく、第三者機関の中間組織(インスペクター)があり、発注者と受注者の間でのプロ集団に権限がある。

手抜き工事に関しても、インスペクターがいて、設計通りにできない環境に変更、金額が加算する場合も、妥当かどうかをインスペクターが判断する、日本とは違う形態である。

逆に、例えばダムは陸軍がやり、民間企業は手出しできないようになっている。

 

A 確かに、現場力、発注者の能力は下がってきているので心配だ。

米国の建設現場を見ていても、その日ごとに職人を雇ったりしている。いまだにそう。日本では今、そんなことはありえない。日本では、日給であっても日給月給であり、その間雇用しているが、米国は1日だけということもある。そういう米国の文化だから、発注者も月単位で支払う。現金主義だから。不払いがまず起こらない。日本はまとめて払うので、途中で下請けが潰れたら不払いなどもある。

 

日本大手もここにまかしていたら大丈夫という安心感があるが、発注者がどうチェックするか、技術力が備わっているか、品質的に重大な欠陥があるのではという懸念がある

 

ブリュッセルの大使館で「銀行の天井が一部貼っていなくても、問題ない」という文化があると言われた。物を作って納める、日本なら明日の作業をスムーズにしようと、その日の仕事は最後までやるが、作業効率に関係なく時間が来たら仕事を中断する文化である。重層的な下請け構造も、日本に独特なものである。

 

天井内装も、大きな企業はない。年間仕事量を確保できる保証がないので、社会保障の掛け金の事業主負担の境目である、5人くらいまでの中小企業がほとんどである。親方的な会社があって、知り合いの会社に「手が空いてるか、そしたら頼むわ」というように、人間関係がある下請けであり、そのまた下請けへと、仕事を回していく。

 

 

Q 日本企業が進出した場合、日本人の雇用はどうなるのか?

A 現地には、指導的な役割を果たす日本人は連れて行くだろうが、実際に働く人は現地採用となるだろう。

 

 

『たすけあいの保険「共済」 ~TPPでどうなる?』報告3「金融・共済業界の概要」7/28開催報告

2016年7月28日実施『たすけあいの保険「共済」 ~TPPでどうなる?』の開催報告、3人の報告者に分けて報告します。

 

報告1:「保険業界・金融業界の動向」

報告者:浦野 弘さん(金融労連)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/160548

 

報告2:TPP協定第11章 金融サービスの内容と金融・共済」

報告者:樫原 正澄さん(関西大学教授、TPP大阪ネットワーク代表)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/160925

 

報告3:「金融・共済業界の概要」

報告者:飯田 秀男さん(全大阪消費者団体連絡会)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/161526

 

■報告3:「金融・共済業界の概要」

報告者:飯田 秀男さん(全大阪消費者団体連絡会)

 

「保険」と「共済」の共通点と相違点

まずは加入の対象が違っており、根拠法が違っている。

保険会社は保険業法を根拠法としており、金融庁が管轄している。JA共済であれば農業協同組合法を根拠法とし、農水省が管轄、生協共済であれば消費生活協同組合法を根拠法とし、厚労省が管轄している。

保険は営利を目的としており、出資者に対して配当が支払われるが、共済は営利を目的としていない。

 

2015年度の財務諸表で比較すると、日本一の保険会社である日本生命では、総資産63兆円、保険契約高253兆円である。都市銀行トップの三菱東京UFJ銀行では、総資産222兆円、預金が147兆円である。

一方、JA共済においては、総資産54兆円強、保有契約高281兆円であり、かんぽ生命では、総資産81兆円強、44兆円もの保有契約高を有する非常に大きなマーケットとなっている。

 

共済は絶対に破綻してはいけない構造となっており、もともと利益が大きく出る特徴を持っている。株式会社においては、利益は株主に還元することになっている。

共済が金融庁の管轄下になった場合にどうなるのかは、だれも正確に予想できないであろうが、加入者にとっては、これまでの有利な側面が削がれることになるだろう。

 

在日米国商工会議所の具体的な要求を見てみると、日本国内の共済への優遇を止めて、金融庁の管轄に移し、保険会社と同じ保険業法の適用に変えて、共済と保険会社は対等な条件で競争させるべきだと、提言している。

緩い規制環境におかれた共済は、個人保険分野においては30%ものシェアを占めており、これを問題だとしている。

また、JAグループの改革についても、安倍政権の改革を高く評価する一方で、まだ改善点が残されているとして、共済事業の改革を進めろと、提言している。

 

JAに株式会社化が導入されると、共済事業は続けていけるのか。

JA中央会は社団法人として存続し、共済事業は分離することが予定されている。生協においてはすでに、事業と一体だったものが、モノと共済は分離した形になっているので、まずはその方向に沿って進められるのではと考えられる。分離されたことで、生協の収益構造は変わったが、JA共済と比較すれば、極めて事業規模は小さかったので、単純な類推はできない。

金融業界からすれば、JA共済の市場は莫大であり、非常に魅力的な収益ターゲットとして映っているのであろう。しかし、JA共済だけでなく、将来的には労働共済など、小さい規模の共済も同じく、金融庁の管轄下に置かれることになるだろう。

 

 

金融庁管轄になるとどう変わるのか。

共済事業はそれぞれの根拠法に従って実施しているが、保険業法の適用になり、金融庁の管轄となれば、共済としての魅力(互助の精神)がなくなっていくであろう。

 

現在の損保業界の動向をみると、アメリカの団体から要望されて、日本においても保険料率を自由化した。事故率の多い若者階層には保険料が高くなり、事故率の低い年齢階層は安くなるなどである。

 

代理店の営業活動において、保険会社は取扱高の大小によって、代理店手数料を決めており、その差が大きくなっている。

 

保険会社にとっては、収益を維持しようとすれば、保険金の支払いを少なくすることが重要となる。

たとえば、自動車保険だと、「保険金(20万円、30万円とか)をもらうと、保険料が上がります」と、保険契約者に説明し、保険金を受け取らない方が得だと営業活動を展開し、保険金支払いを少なくするように働きかける。

共済なら、共済契約者に有利なように共済金を支払うが、これが金融庁管轄となれば、変更が起こると予測される。

 

生保業界において、企業年金、年金のしくみは、現在は全体的には「確定給付型」が主流となっている。年金原資の運用に失敗すれば、企業の債務負担額は大きくなる仕組みとなっている。

 

資金運用を一括して、一定の利率を維持しようとするのが、アメリカ型の「確定拠出型」である。手数料が増える上に、年金受給者が資金運用のリスクを引き受けることとなる。つまり、企業にとって、手数料で売り上げはアップし、資金運用損失のリスクが減るため促進されている。

 

単位JAにおいて、共済事業を分離した上で、JA共済事業は金融商品と同じく金融庁の管轄下となり、他の金融商品と同列に扱われるように変更されるという図式ではないか。

 

まずはJA本体の改革は決まっているので、スケジュールどおりに実施し、共済事業、信用事業、経済事業はバラバラにされるであろう。現在の生協における、保険窓口業務のようになっていくのではないかと考えられる。

 

共済であれば、税制上の優遇措置があり、共済制度の仕組みを作る際には、構成員の利益に合致するように構築できる可能性がある。

同じ事故であっても、共済であれば多く支払うことも可能であり、構成員の判断による、制度設計上のフレキシビリティが高いといえる。震災が発生した際にも、共済であれば、構成員の生活を優先して、共済金受け取りを早くするという判断もできる。

共済には、掛け金は安く、リスクの高低に関係なく同じ掛け金で、誰でも入れるというメリットがある。

 

労働共済の自動車保険の保険料の違いは明確である。大企業の保険料と共済の保険料と同じ程度であり、大規模団体の減免率と同程度となっている。企業保険では、企業規模による保険料負担額に違いがある。

 

『たすけあいの保険「共済」~TPPでどうなる?』報告2「TPP協定第11章 金融サービスの内容と金融・共済」

2016年7月28日実施『たすけあいの保険「共済」~TPPでどうなる?』の開催報告、3人の報告者に分けて報告します。

 

報告1:「保険業界・金融業界の動向」

報告者:浦野 弘さん(金融労連)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/160548

 

報告2:TPP協定第11章 金融サービスの内容と金融・共済」

報告者:樫原 正澄さん(関西大学教授、TPP大阪ネットワーク代表)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/160925

 

報告3:「金融・共済業界の概要」

報告者:飯田 秀男さん(全大阪消費者団体連絡会)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/161526

 

 

■報告2:TPP協定第11章 金融サービスの内容と金融・共済」

報告者:樫原 正澄さん(関西大学教授、TPP大阪ネットワーク代表)

 

TPP協定によって、保険・共済はどうなるのか

金融と言えば、一般の人は銀行が思い浮かぶが、TPP協定においては、あらゆる金融機関が入っている。農協の共済ももちろん入っている。ただ、具体的な中身は、政府資料にも書かれておらず分からない。

 

TPPの原則としては自由化の促進であり、貿易の自由化を実現することを目的としている。TPP協定では、金融サービスとは「金融の性質を有するいかなるサービスをも意味する」と記されている。

保険といえば、一般的には日本生命とかの民間保険会社と考えるが、TPP協定ではそれだけではなく、共済も保険業務に含まれる。また、「公的年金は入らない」とあるが、「政府の見解ではそのように読める」と言うことであり、本当に公的年金TPP交渉に入らないかは微妙であると考えられる。

 

これまで、他のFTA協定にも金融は取り入れられているが、TPP協定では、これまでと比較すると長く詳しいという特徴がある。しかし、TPP協定全体から言えば、抽象的であり短いのである。

金融の章だけでなく、その他、「第9章 投資」、「第10章 越境サービス貿易」、「第12章 商人の一時的入国」、「第28章 紛争解決」、「通貨事項共同宣言」などと関わってくる。その関係については、実際に交渉に携わった人しか、真意は理解できないのは、他の分野と同じである。

 

「所定情報の取り扱い(11.8条)」では、現地当局からの情報開示要求を拒否できる項目も入っている。また、「幹部職員と取締役会(11.9条)」では、締約国による金融機関の人的構成への介入は禁止されている。市民側においては、協定文があいまいで、判断が分かれるため、評価のむつかしい章である。

 

アメリカの狙いに注目することは重要なことである。在日米国商工会議所(ACCJ)などは金融自由化による収益確保を狙っている。

 

『たすけあいの保険「共済」 ~TPPでどうなる?』報告1「保険業界・金融業界の動向」7/28開催報告

2016年7月28日実施『たすけあいの保険「共済」 ~TPPでどうなる?』の開催報告、3人の報告者に分けて報告します。

 

報告1:「保険業界・金融業界の動向」

報告者:浦野 弘さん(金融労連)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/160548

 

報告2:TPP協定第11章 金融サービスの内容と金融・共済」

報告者:樫原 正澄さん(関西大学教授、TPP大阪ネットワーク代表)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/160925

 

報告3:「金融・共済業界の概要」

報告者:飯田 秀男さん(全大阪消費者団体連絡会)

http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/08/06/161526

 

イベント案内→【6/30食品表示・7/28共済と保険】TPP学習会@森ノ宮 開催します - 「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」

 

報告1:「保険業界・金融業界の動向」

報告者:浦野 弘さん(金融労連)

 

本来TPPは貿易の障壁をなくし自由化をめざしている。金融自由化は1970年代から開始しており、日米貿易交渉でも取り扱われてきた。ただし、アメリカだけの要請だけで進められてきたわけではなく、日本のメガバンクも同じような要求をしてきたことを、忘れてはいけない。

 

1、金融自由化とTPPの歴史

金利規制の自由化によって、横並びの金利は変わり、今では預入金額で金利を変えるなどできるようになった。業務分野も銀行、長期銀行、証券、信託等々の垣根があったが、規制がなくなり、事業の相互乗り入れとなっている。

国際通貨体制においては固定相場から変動制に変わり、外資の出資も基本的に自由にできるようになった。歴史的にみれば、日米政府間交渉に従って、日本国内の政策を実行しているといえる。

 

1993年の宮沢・クリントンとの包括協議に沿って1996年金融ビッグバン、金融自由化が進んだ。その中身は「預金から投資へ」という流れである。

消費者にとっては貯蓄資金の活用のための選択の幅は増えたが、元本保証のない商品が増えており、自己の責任が求められている。

 

2、世界の金融と課題

基軸通貨ドルの弱体化の中で、円を補助的貨幣として組み込まれているというのが実態であろう。その流れの中で、金利の収益よりも、手数料による収益を重視し、現在は投信販売などの手数料収益の割合がどんどん上がっている。

 

銀行だけでなく生保も保険も、新興国に高収益を求めて活動しており、グローバル化によって海外貸し出し比率は増加している。

 

家計部門の1700兆円の資金を、いかに投資に結び付けるか。いかに有効に使うことができるかが、私たちの取り組むべき課題である。

投機市場での金融機関の役割は胴元であり、利用者の損得に関係なく胴元は儲かり、所得・資産格差は拡大するのである。金融機関にとって、低金利で利ザヤは減っており、金貸しだけでは儲からないというのも事実である。

 

銀行で働き、組合活動として会社と春闘の交渉をした経験からいえば、会社側は「内部留保は、将来的リスクを考えると取り崩せない」と主張している。

では、「どれだけ貯める必要があるのか。上限は?」と聞くと、「上限に関する基準を持っていない」という。一方、銀行員は、家計部門における貯蓄から投資への切り替えノルマを課せられている。この金融資産を投資だけでなく、いかに「国民生活のために活用するのか」を考える必要がある。

 

デリバティブ取引は、金融商品から派生した商品である。サブプライムローンでみられたように、いろんな商品、リスクの高い商品も一括にして、一つの商品として販売するので、どこにリスクがあるのか分からないようになっている。

 

先物取引オプション取引スワップという形を組み合わして利用している。レートの予約の権利をオプションとして買うのか、それとも売ると言う権利を買うのか、判断に困難が伴う。通貨スワップの際に、将来は円からドルに換えたいが、その間にユーロをかませるということもあり、一般の人にはその仕組みが十分に理解できない。

 

お客さんにその権利を売るときは、逆のリスクヘッジをしており、デリバティブが行われることによって、2倍、3倍と何倍もの大きな取扱実績となり、それが統計となっている。

 

マイナス金利は国際市場の価格に大きく影響するだろう。住宅ローンの変動金利にも大きく影響する可能性もあり、10年物固定金利の利用について、個人としては一考しても良いかもしれない。

 

大きな資金が動くとき、関与する銀行は間違いなく儲かっているのが実態である。「貯蓄から投資へ」、それは日本だけでなくアメリカでも大きなせめぎあいの構図となっており、TPP協定においても同様である。

 

補足として、国際決済銀行が公表している外国為替取引市場の1日当たりの平均取引高は、2013年時点で5兆3450億ドル。年間で19系5092兆円、モノの貿易取引高が年間3500~4000兆円と比較すると50倍以上になる。

『自分で食べるものを選びたい ~食品の表示とTPP~』報告3「食品表示で懸念されること」

『TPPとくらしを考える学習会』
6/30(木)夜開催の『自分で食べるものを選びたい ~食品の表示とTPP~』開催報告を3人の報告者によって分けて報告します。

報告1「食品表示の監視指導の現場から」

   http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/07/09/160544

報告2「TPP協定と食品の表示問題」

   http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/07/09/161133

報告3「食品表示で懸念されること」

   http://tpposaka.hatenablog.com/entry/2016/07/09/165258

 

 

■報告3「食品表示で懸念されること」

報告者:飯田秀男さん(全大阪消費者団体連絡会)

 

TPPが決まったら、どういう食品が入ってくるか

厚生労働省が、輸入食品相談指導室における輸入相談実績の一覧を作成している。

 

これは、「これまで輸入したことがない物品」や「初めて輸入する事業者」などに対し、検疫所が相談業務を行っているもの。その相談事案を検査した結果、これだけ違反が起こっているという推移を示している(図表参照)。

 

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国別・品目別に表示されており、米国の違反件数が毎年一番多い。

 

2014年度は117件の違反であり、その半分以上が健康食品である。すなわち、「今の規制ルールでは輸入できなかったが、輸入したい、売りたい」という、事業者はたくさん存在していることを意味している。

未認可の添加物について、「日本で早く承認すべきだ」という、圧力が高まることが容易に予測される。

 

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 【厚労省】平成26年度輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果より

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/kannshishidoukextuka_26_zenntai.pdf

 

食品表示はどうなるか

実際にTPP協定が発効すれば、どういう懸念があるかを考えてみました。

「食品の一括表示」は非常に細かいため、変更するのは大変な作業であり、当面変更されることはないと思われます。

 

しかし、「健康増進法」、「景品表示法」の対象は広範囲であり、「なぜ変更のためにコストを払うのか」という内外の事業者の不満が高まれば、規制緩和の議論になるのではないか。

 

遺伝子組み換え食品はどうなるか

遺伝子組み換え食品」の現行の表示ルールは、そもそも「選択の機会」を保証するためであり、安全かどうかを消費者の選択に任せる観点からのものではない。

安全かどうかは、意見が分かれているため、安全性を軸にして表示のあり方を問題提起をすると、混乱することとなる。

 

 遺伝子組換え食品の是非を安全性だけで議論するのは難しい。

生物多様性の保護の観点や、自然界に存在しないものを人為的に創り出す行為煮の嫌悪感を持ち、倫理的に問題はないのか等を、問題提起している人もいる。

 

また、安全性に問題があったとしても、それを科学的に証明することは実質的にできないのではないか。

 

米国の連邦法では表示義務はないが、州法で表示するよう住民投票などで決まった州がいくつかある。しかし、連邦法でそれを無効にし、表示しない方向に進めようという動きがある。

 

TPPには、遺伝子組み換え食品の表示をどうするなどとは書かれていない。

遺伝子組み換えに関連しそうな協定文は、第8章TBTだけでなく、たとえば第2章でもでてくる。あちこちに出てくるので、全体像は実際に交渉をした人しか分からない。

 

SPSも食の安全で言えば、予防原則ではなく「科学的根拠」が基準になる。TBTでSPSを抑え込む形になるのではないか。しかし、それは各章が他の章とどう関係しているのか、他の章で隠されている問題は何か、勉強をより強めることが大事である。

 

ちなみに、「科学的根拠」とは、簡単にいえば「コーデックス委員会」の基準であり、そこではアメリカの判断が大きく影響している。

 

◇日米における食品表示を比べてみると

同じグリコのポッキーでも、表示に違いがある。たとえば、ビタミンなど栄養素が書かれている。「機能性表示」が昨年から変わった。もともと米国のサプリメント制度に合わせて、米国貿易障壁報告書で要求がでていた事項である。

 

消費者庁での検討会の意味

現在、消費者庁の3つの検討会が進んでおり、2016年秋に取りまとめるといわれている。

 

3つとも、何らかの形で「成長戦略」に関与しているのが特徴であり、企業が儲けることを前提として動いている検討会である。

当面は、日本企業のためのビジネスチャンスの提供ではあるが、TPP以降は海外事業者も同様の立場(内国民待遇)となり、米国企業の主張を聞くことは十分に想定される。

 

本検討会は3つとも消費者庁内に設置されている。

これまで制度を変える場合には、外部の意見を聴くために消費者委員会等に諮問し、答申を得て、政府が変更について判断するのが普通の手続きであった。それにもかかわらず、わざわざ外部に設置しなかったことには疑問が残る。

消費者庁の事務局主導で、議論する形を進めているのはなぜだろうか。委員会なら消費者庁は指導ができないことを考えると、さまざまな思惑があるのではないかとみている。